「ロシア対ウクライナ」ではない
まず初めに正しい認識として持ちたいのは、2022年2月に発生したウクライナ騒動の対立構図は「ロシア対ウクライナ」ではなく、「ロシア対NATO」だということです。
経緯を説明します。
NATOとは
NATO(North Atlantic Treaty Organization - 北大西洋条約機構)
第二次世界大戦の終結後、東西冷戦の激化したことに伴い、1949年北大西洋条約が締結、NATOが創設される。当初の加盟国は12ヵ国。(イギリス・フランス・オランダ・イタリア・アメリカ・カナダなど)その目的はソ連などの共産主義国の脅威に対抗して軍事同盟を結ぶことでした。一方でソ連も「ワルシャワ条約機構」を設立、以降、長らく両社の対立が続くことになります。西欧諸国はアメリカの強い影響下に置かれることになりましたが、二度の世界大戦で甚大な被害を受けた西欧諸国は、アメリカの軍事力と核の抑止力のもとに、安定した経済成長を遂げる道を選びました。アメリカは核兵器を搭載可能な中距離弾道ミサイルを西欧諸国に配備し、アメリカ製兵器が各国に供給されるようになりました。しかし1989年、米ソの「マルタ会談」の結果、冷戦は解消し、それに続く東欧諸国の動乱と1991年のソ連崩壊でNATOは創設当初の目的を失いました。その後、NATOは役割を大きく変え、新たな戦略概念として周辺地域の紛争抑止や危機管理、対テロ対策を実地する枠組みへと変化していきました。2020年の現在ではNATO加盟国は30ヵ国まで増えました。
1991年ソ連の崩壊後、NATO(アメリカ)とロシアの間には「NATOは東へ1ミリも拡大しない」という合意がありました。しかしこの約束は反故にされ、NATO加盟国を増やす形で、軍事同盟エリアを拡大してきました。NATO加盟国は地域ごとにNATO軍を結成し、弾道ミサイル配備などの軍備を整えます。ロシアはNATOの軍備拡大に対し、幾度となく強い懸念を主張し、反発してきました。そして現在、ソ連の一部であったウクライナまでNATOに加盟する動きまで出てきました。
このようにソ連崩壊後、共産主義や社会主義でなくなったロシアですが、アメリカが主導するNATOは存続し続け、ロシアへの圧力を強めていったという背景があります。
一番濃い青(紺色)がNATO
— matatabi (@matatabi_catnip) 2022年3月13日
覇権主義はどっちだ、って話。 pic.twitter.com/NryQeuoBtv
侵攻前に行ったプーチン大統領の記者会見
プーチンがウクライナ侵攻前に行った記者会見の動画
— Ángel✨de✨la✨Guarda (@Puno_de_hierro) 2022年3月9日
プーチンが西側の記者に、当たり前の事を説明しています
日本ではこの情報は出てないように思います。
元動画https://t.co/12UQKwOMA9 pic.twitter.com/c9dZ0GWGba
ネオナチ勢力「アゾフ大隊」の存在について
次に説明しなければならないのは、アゾフ大隊の存在についてです。メディアではほとんど報道されませんが、ウクライナにはアゾフ大隊(現在は連隊に昇格、大隊が2~3隊の規模)という私兵団があり、このアゾフ連隊がウクライナ国家親衛隊として、国家憲兵、国家安全保障の任務に就いています。問題とされているのが、このウクライナ国軍であるアゾフ大隊が極右過激主義の「ネオナチ勢力」だという点です。
アゾフ大隊 pic.twitter.com/D7y1KkCnfD
— nobby_saitama_2 (@Nobby_Saitama_2) 2022年3月7日
ネオナチとは
ネオナチとは、ナチズムを復興しようとする、または類似性を持つ、第二次世界大戦後の社会的あるいは政治的運動の総称である。「ネオナチ」という語は、それらの運動のイデオロギーを指す意味でも使われている。ネオナチのイデオロギーは、オリジナルのナチスやナチズムに近いものから、相違点が大きいものなどさまざまである。概して部外者に使う言葉である。多くの国に組織があり国際的なネットワークも存在するなど、世界的に見られる現象となっている。 参照/ネオナチ - Wikipedia
→暴力的に活動したのがアゾフ大隊というネオナチグループでマークもナチスのとそっくり。
— ヤノトシオ (@kinoguras) 2022年2月28日
1がナチス武装親衛隊のマーク(ルーン文字で人狼の意)2がアゾフ大隊。
白人至上主義者、そして公言された反ユダヤ主義者。国家社会主義。→ pic.twitter.com/bqJDr2MUPT
※閲覧注意(写真には犠牲となった市民が映っています)
ネオナチ部隊アゾフ
— 正道正義 (@jJJurWP56h9oIfr) 2022年3月4日
Azov Battalion
皆検索したらいいよ。
米国ネオコンのバックアップで2014年のウクライナの政変で誕生。幼稚園バスを狙って打ったり、幼稚園児をターゲットに射的する連中。大勢の子供達が犠牲になった。とんでもない鬼畜集団やで。 pic.twitter.com/Mi4J0vxKwk
日本公安がウクライナのネオナチ勢力の存在を認めている
このネオナチ勢力であるアゾフ大隊について、此の程のメディア報道では事実無根のデマと喧伝しています。しかし当時の記事や公式文書には存在を示す証拠が多数残っていることは事実です。日本の公安調査庁公式ページでも、はっきりとその存在を認めています。
極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり | 国際テロリズム要覧2021 | 公安調査庁
https://archive.ph/fUbE2 ←Web魚拓(削除対策)
アメリカ議会も認めている
またアメリカ議会も、過去にこのネオナチ勢力を認めており、そして今はそれに触れる関連記事を削除しています。
アメリカのThe Nationの2016年の記事をDeepLで翻訳。
— はやし いさむ (@hayashi_samu) 2022年3月11日
「米国議会は年末の歳出法案からネオナチへの資金提供の禁止を削除しました。」https://t.co/BS3vWh2xEl
何で削除したのだろうか?
GT調査:米国がネオ・ナチ「アゾフ大隊」 を支援していた可能性を示す証拠 GT 翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授)
ウクライナ政府軍にネオナチがいるという、ちょっと前まで別に秘密でもなんでもなかった公然の事実を指摘することが憚れるご時世だが、過去の話ではなく今回の戦争にもアゾフ大隊(連隊)参加している映像を貼っておく。 pic.twitter.com/kZizBc4uyf
— nobby (@nobby_saitama) 2022年3月5日
ウクライナの歴史
ウクライナの歴史はとても複雑なので概略で説明します。元々はローマ帝国崩壊後、東欧に住む東スラブ系民族ルーシ人が建国したキエフ公国というロシアの起源と言える国でした。(諸説あります)そのキエフ公国はモンゴル帝国に潰され、ポーランド・リトアニア王国に支配され、ロシア人により奪還、ロシア帝国として拡大、その後、ナポレオンのロシア侵攻、ロシア帝国崩壊後のソ連、ドイツとの戦争など、東西対立の主戦場として戦火に巻き込まれ続けてきた地域でした。そして1991年のソビエト崩壊後、ソ連の共和国が独立していく中にウクライナもありました。ロシアはこれらの地域がNATOに加盟しないという条件付きで独立を認めました。この歴史の中でようやくウクライナは独立国となり30年が経過、今に繋がります。
ここでは、この争いの引き金となった2014年からの出来事を中心にまとめていきます。
2014年に起きたクーデター「マイダン運動」
2014年に首都キエフで起きた反政府運動。ウクライナ騒乱、マイダン革命とも呼ばれます。ウクライナ政府とマイダンデモ参加者との間で激しい暴力的衝突の結果、当時の大統領ヴィクトール・ヤヌコーヴィチは失脚し、ロシアへ亡命することになった革命運動です。そしてマイダン運動側の勝利により、新たな政権が発足しました。
このマイダン運動ですが、西側メディア報道では市民による民主主義革命とされていますが、その裏にはNATO(アメリカ)の支援があるとされています。
マイダン運動の結果起きたのが、マイダン運動に反対を唱える人達たちへの虐殺事件です。
オデッサ虐殺事件
オデッサの虐殺 pic.twitter.com/cog4GEMCPX
— 付箋 (@KDystopia) 2022年3月5日
以下の動画は、衝撃的な内容であるため閲覧注意です。ですが、ウクライナで何が起きているのか、今この世界で起きている事象を理解するため、出来る限り自分の目で確認して頂きたいと思います。
「オデッサの悲劇」生き残った当事者証言によるドキュメンタリー動画
オデッサ虐殺関連映像
ウクライナで何が起きたのか?(犠牲となった人々)※閲覧注意
What is happening in Ukraine - Was passiert in der Ukraine
アゾフ大隊の誕生
マイダン運動の主導した過激派の民兵グループは、その後、NATO(アメリカ)の支援を受け2015年にアゾフ大隊として創設されました。これはアメリカとしては認めたくないない内容ですが、その証拠はいくつも残っています。
CIAによる特別訓練を受けるウクライナ部隊
「米の初のウクライナ介入 はNATOが成立した1949年に反ソ政治で行われた」「CIAは2014年のクリミア危機の翌年から米国内でウクライナの特別部隊や情報部員を特別訓練してきた」「米のウクライナ介入はイラク やアフガニスタン のように国外テロ組織の介入に発展する危険性」 https://t.co/GhxKgtG7xv
— Tomoko Shimoyama (@TomokoShimoyama) 2022年2月28日
殺戮を楽しむ我々ネオナチは西側から大量の武器供給を受けている
「殺戮を楽しむネオナチの我々は西側から大量の武器供給を受け、トルコとポーランドとベルリンとウクライナの(対露)新同盟が生じた」「過去60年で初めてこの(対露)戦争を始めた我々はこの同盟の旗手だ」「我々の目的は国際レベルの新同盟と政治的チャレンジだ」「ロシア崩壊と分割を想像したまえ」etc. pic.twitter.com/CG38MX8Xnx
— Tomoko Shimoyama (@TomokoShimoyama) 2022年2月28日
ウクライナのネオナチ組織C14(S14)の2022年2月の記者会見。西側の支援でウクライナの2014年クーデターを担った、今もロシア崩壊と分割に向けて武器供給されている、欧州全域に潜伏した構成員が直に世界中の脅威となるなど、得意げにウクライナ危機の裏事情を語っている。 Tomoko Shimoyama (@TomokoShimoyama) | Twitter
子供を訓練するアゾフ大隊
国際報道は語らない🇺🇦ウクライナ
— morpheus💊🍊 (@morpheus7701) 2022年3月3日
ISをモデルに訓練された子供兵士達
キエフの前政権によって奨励され、資金提供され長年ウクライナで活動しているネオ卍那智グループであるアゾフ大隊に所属する子供達の軍事訓練画像…😭やめてくれ🐸 pic.twitter.com/6oSQxMxSpj
ネオナチによる子供たちへの洗脳教育
🇺🇦では西側による「民主化」という錦の裏で、ネオナチ・反ロシア思想の洗脳教育が子どもにもされてきた。それがわかる映像。結果、多かった中立層が減って、国民・国土の分断が進んだ。不安定化で得するのは誰か? pic.twitter.com/qwYO8sNhrN
— J Sato (@j_sato) 2022年3月7日
ナチスシンボル「ブラックサン」
🎯ウクライナの女性兵士のバッジ、インターネット上で見つかった注釈は、ナチスまたはナチスをサポートする「黒い太陽」であるか、自分で判断できるように!🎯 pic.twitter.com/JUPaeG4Tjx
— 正道正義 (@jJJurWP56h9oIfr) 2022年3月9日
https://djanimateurfinistere.com/wiki/Black_Sun_(symbol)
生活に溶け込むネオナチ思想
2019年: ここは何のヘンテツもない。階段にナチスのロゴがあるだけのキエフのショッピングモール。🇺🇦ウクライナ・キエフが2019年に既にこんな状態だと誰が知っていたか⁉︎🇷🇺プーチンが攻撃しているのはウクライナを乗っ取りこれを掲げてウクライナ人を苦しめている中心人物とそのシステム。 pic.twitter.com/BFOftS1EYh
— # hii (@hii29227409) 2022年2月28日
ドンバス戦争
その後、ウクライナのネオナチ部隊はウクライナ東部ドンバス地域に対し戦争を仕掛けました。ドンバス地域(ドネツク・ルガンスク)には主にロシア人や親ロシアの人達が住んでいます。
ドンバスの虐殺
メディア報道の映像などで、瓦礫となった町や、ロシア軍攻撃による被害として、頻繁に出てくるのは、このドンバス地域のドネツク州やルガンスク州です。
守られることのなかったミンスク合意
NATOやウクライナが戦争を仕掛ける理由は、ドンバス地域には、親ロシア派の分離主義者で反乱軍がいるということです。この主張の真偽についてはわかりません。
2014年、ロシア側はウクライナのネオナチ勢力による、ドンバスでの虐殺行為を止めるために「ミンスク合意」という停戦協定を設けます。
ミンスク議定書
2014年9月5日にウクライナ、ロシア連邦、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国が調印した、ドンバス地域における戦闘の停止について合意した文書。これは欧州安全保障協力機構の援助の下、ベラルーシのミンスクで調印された。 ミンスク議定書 - Wikipedia
しかし、この合意は守られることはありませんでした。
2014年に始まったウクライナ軍によるドンバス市民への攻撃は、現在までの8年ずっと続いています。
ドンバスへの攻撃は現在までの8年間続いている
❗️ An online exhibition depicting the war crimes & crimes against humanity committed by the Ukrainian leadership in Donbass: https://t.co/BhtAWbc2wX
— MFA Russia 🇷🇺 (@mfa_russia) 2022年3月1日
⚠️ The contents are extremely graphic! But so was the life for the citizens of Donbass over the last 8 years...#DonbassTragedy pic.twitter.com/mj9WV7lLtn
ドンバス地方が8年間毎日攻撃され、ウクライナの前大統領と現大統領も、ウクライナ側の子供は全て最高な物得るが、ドンバス地方の子供は防空壕で腐るがいいの発言は?
— MK✝️ (@sofimari21) 2022年2月26日
ウクライナ側が2日間爆弾の音聞いただけで全世界が騒ぐのね?
ネオナチとの戦いよ。第二のヒットラー作らない pic.twitter.com/YBHTNPAQOq
プーチン大統領の演説
プーチン大統領がウクライナへの軍事作戦を開始するにあたっての演説です。
今回の作戦を実行する理由が明確に述べられています。
プーチン大統領が軍事作戦を実行する理由として述べた内容
・8年間続くジェノサイドからドンバス地域の民間人を守るため
・ウクライナ政権中枢に巣食うネオナチ勢力を排除するため
このようなメディアで報道されない情報とプーチン大統領の主張を合わせて考察してみると、今起きているウクライナ戦争と呼ばれるものは、2022年に始まったわけではなく、「8年間続いた戦争を終わらせるための戦い」と言えると思います。この結果がどのようになるかは、まだわかりません。
次は現在、ウクライナで起きている戦争の実態をまとめてみようと思います。